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線維筋痛症とは?

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全身がたえず強く痛むという症状は、当事者以外に想像できるものではないかもしれません。

それでもどんな病気なのか、周囲の人が知ろうとする姿勢が大切なのではないでしょうか。

管理人なりにではありますが、わかりやすくまとめてみました。

 

目次

線維筋痛症とは?

 線維筋痛症(fibromyalgia; FM)は身体の広範な部位に原因不明の慢性疼痛と全身性のこわばりを主徴候とし、随伴症状として多彩な身体、神経・精神症状を伴い、いずれの徴候も慢性疼痛と同様に身体診察や一般的画像検査を含む臨床検査で症状を説明できる異常を見出せないことより、機能性身体症候群(FSS)に属する特異なリウマチ性疾患であり、中年女性に好発し、自殺を除いて生命予後には問題はないが、QOL, ADLは著しく悪い。

 わが国の有病率は欧米のこれまでの報告と同様に人口の 1.7~2.1%と比較的頻度の高い疾患である。一方、FM の疼痛は侵害受容性の痛みでなく、病巣が特定されない神経障害性様の中枢性疼痛とされており、いわゆる疼痛の中枢性感作が成立し、中枢感作症候群(central sensitization syndrome; CSS)の一つである。これら病態は相互に併存しやすい特徴もある。

 また、最近の病因・病態に関する研究の進歩を背景に、脳内ミクログリア活性化症候群の一つとして、脳内神経炎症(neuroinflammation)による病態であるとの報告もある。今後の研究の進歩により、FM の疾患概念は大きく変貌する可能性がある。

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医学的には「慢性疼痛」という言葉ひとつであっても、本人にとっては、他人が言葉で言い表せないような、本当につらい病気なのでしょう。

 

QOL(人生・生活の質)やADL(日常生活動作)の著しい悪化によって、生きる希望を失うほどの影響を与えるということは、生命にも関わっていると思われます。

 

症状は?

 全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがあります。
その痛みは軽度のものから激痛まであり、耐え難い痛みであることが多いです。痛みの部位が移動したり、天候によって痛みの強さが変わったりすることもあります。痛みが強いと日常生活に支障をきたすことが多く、重症化すると、軽微の刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で激痛がはしり、自力での生活は困難になりますが、重症化する前に早めに受診して対策することが必要です。
 随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴う事もあり、症状は個人差があります。

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健康な人にとっては軽い刺激であっても激痛が走るというのは想像を絶します。

 

また痛み以外にも色々な症状が出ると、日常生活に支障をきたしそうです。

 

病因は? 

 線維筋痛症の病因・病態は不明であるが、現在までさまざまな検討が行われ、それに基づくさまざまな仮説が提唱されている。以下に病因・病態の概略を示す。これはエビデンスは限定的であり、今後の研究の進歩で削除される項目も当然多数含まれる。
 心理社会的要因と疾患、身体的・精神的ストレスと疾患、炎症・免役異常、遺伝的要因などが想定されるが、具体的に重要なものとして、さまざまな線維筋痛症の危険因子、血液検査異常、生理機能障害、末梢神経などの組織障害、中枢性過敏と中枢性過敏症候群、および脳内ミクログリア活性化(脳内神経炎症)などである。

 2011~2016 年に発表された 1,115 件の該当論文が得られ、これらの中から病因・病態について統計的解析を行っている論文を探索した。
その結果、統計的に有意となるような病因・病態の報告はなく、依然として不明であるという結果に至った。これらの論文で報告されている中から、線維筋痛症に関連のありそうな因子・リスクファクターとして、
1. 身体的ストレス、疾患:外傷、出産、HPV ワクチン、OA・SLE などの膠原病、心疾患、偏頭痛など
2. 精神的ストレス、疾患:鬱、双極性障害、不眠、不安など
3. その他:炎症、サイトカイン、ケモカイン、アルコール、肥満、栄養状態、低ビタミン血症などがあげられた。ゲノムワイドスクリーニングに関する研究に関して 5 年間で20 報の報告があるが、どれもまだ結論的ではなく幾つかの候補遺伝子の変異 (SNPs)および microRNA を含む発現量の差が示唆されているにとどまっている。

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未だ、エビデンスのはっきりとした病因は不明ですが、様々な検証がされ、仮説は立てられているようです。

とにかくストレスは良くないようですね。

 

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発症のきっかけは?

 線維筋痛症の発症の契機としてリストアップされるものは以下の通りである。外傷、特に交通外傷による頚椎損傷が強い発症要因とする報告が多数ある。慢性ストレス、情緒的ストレス、外科的手術(特に脊椎、婦人科手術)、身体疾患、うつ病、不安障害の存在が発症要因とする報告もある。一方、感染症として HIV, HCV, HBV 感染、マイコプラズマ、パルボウィルス B19、HTLV-I 感染、あるいはライム病、HBV キャリアー、特にアルミアジュバントを含むワクチン接種が発症の危険因子とする報告が複数ある。

 日本人を対象としたものとして、多施設の患者問診による調査がある。痛み出現のトリガーとして、環境の変化等、睡眠障害、妊娠・出産・更年期障害、仕事・就職・転職等の順であり、肉体的損傷が発症のトリガーとなったものには疾患の存在、手術、外傷の順で多いと報告している。一方、厚生労働省研究班の全国疫学調査から得られた症例の担当医調査からは、既往歴に手術歴が4割にあり、その内容で腹部手術、婦人科手術、脊椎を含む筋骨格系などであり、外傷歴は2割弱にあり、その半数が脊椎外傷であったと報告されている。
 このように発症要因に関する報告はいずれも後ろ向き研究で、一部を除いて casecontrol study によらないものであり、エビデンスは低いものである。

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ストレス以外にも感染症がきっかけになるというのは意外ですね。

もしかしたら、未確認の病原体が原因なのかもしれません。

 

ワクチン摂取が発症の危険因子というのにも驚きます。

一体どういう機序で起こるのでしょうか?

 

診断の方法は?

 現段階では1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準を参考にしています。
 全身に18箇所の圧痛点があり、4kgの力で押し11箇所以上痛く、また広範囲の痛みが3ヶ月続いていることが条件。11箇所以上でなくても専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。他の病気があっても線維筋痛症の診断は妨げられません。
 あわせて予備診断基準が発表されており、問診票として使用されている場合があります。さまざまな身体症状を評価できる質問となっています。
検査では特別な異常がないのが特徴ですが、近年機能性MRIでの研究によると、脳内の血流が関係していることなどが判明してきました。カルシウムイオンの流入などにも着目して、研究がすすめられています。また患者の全体的な身体状況を良くすることで改善することも多いことが分かってきています。低体温、低血圧、低血糖甲状腺機能低下、生活環境にあるストレス(頑張りすぎる、責任感が強い、何もかも一人で背負っている状況)、運動量の低下なども考慮しなければなりません。
 血液、レントゲン、CRPという炎症反応、筋電図、筋肉の酵素、CT、MRIを検査しても異常がなく、線維筋痛症と診断できる検査はありませんが、専門医なら診断可能です。「線維筋痛症診療ガイドライン2017」も発行されているので、関心のある医療機関では徐々に取り組まれてきています。
 患者の多くは診断されるまで、何箇所もの医療機関を何年にもわたってまわり続けることになってしまうので、早めに相談することが大切です。

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診断予備基準(2010 年基準)やWolfe らの改定基準(2011 年基準)という問診票での診断法もあるみたいです。

こちらの方が簡便なようですが、特異度(患者さんを正しく診断する確率)は米国リウマチ学会分類基準(1990 年基準)の方が高いとのことです。

圧痛点を4kgの力で押すというのは難しそうですが、正しく診断してくれる医師が増えてくれると嬉しいですね。

 

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併存する疾患は?

 併存疾患(comorbidity)として何が含まれるかについて共通の認識はないことから、一般集団に比して有意に高い有病率を示すものをリストアップした。
 全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、原発性リン脂質抗体症候群、関節リウマチ、乾癬性関節炎を含む脊椎関節炎、ベーチェット病、自己免疫性甲状腺疾患、糖尿病、変形性関節症などが併存疾患として重要である。また、偏頭痛などの各種頭痛症、過敏性腸症候群、間質性膀胱炎、顎関節症うつ病などの気分障害睡眠障害なども高い頻度で併存するが、これらは線維筋痛症の部分症状であり併存疾患とすべきは問題がある。
 一方、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)も非常に高い頻度で併発し、併存疾患と扱うべきかについても問題がある。すなわち、両疾患は中枢性感作症候群あるいは機能性身体症候群に含まれること、最近の脳画像解析から脳内ミクログリア活性化症候群(脳内神経炎症)としてまとめられつつあり、病型の違いの可能性もあるからである。

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膠原病や自己免疫疾患、気分障害睡眠障害を合併することがあるみたいです。

脳や神経の炎症である筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とオーバーラップしているのかもしれません。

 

治療法は?

 だれにでも効くという特効薬はまだありませんが、2012年6月22日にプレガバリン(リリカ)が「線維筋痛症に伴う疼痛」に対して保険適応の承認を取得しました。適切に使用すると症状を軽減する可能性がありますが、副作用として眠気、ふらつきが出る場合がありますので注意が必要です。日本では初の線維筋痛症の薬です。その後線維筋痛症での保険適応も増えています。どのような薬にも副作用はあるので、適切な診断に基づいて服用します。ふらつきなどがあった場合にはすぐに主治医に相談しましょう。

 また、線維筋痛症は薬を飲めば治る、痛みを止めればいい、という考え方ではなく、生活環境や生活の仕方自体をよく再考して、身体機能全体を底上げすることが必要です。医師と薬の力を借りながら、治すのは自分なのです。適切な薬と医師のアドバイスを取り入れて、コツコツ取り組むことが必要です。セルフケア、セルフマネジメントという考え方です。安全性が高く費用があまりかからないで、日常的に自分で行えることを選んでやってみましょう。
 食道、胃が痛い人や、睡眠がとれなかったり、口や目が乾いたり、手足や指先がしびれたり、沢山の不定愁訴がでることがあり、その場合、それぞれの症状に合わせて投薬されます。
 医師を味方につけることが大切。メモにお話すべき内容を書いてもって行き、簡潔に症状をお話しましょう。

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プレガバリン(リリカ)が保険適応になっていますが、薬を飲めば治るというわけでもないようです。

日常的に自分で出来ることを頑張っていくというのも重要ですね。

 

自分で出来るセルフケアは?

 日本人を対象としたものはなく、すべてが海外での報告である。線維筋痛症の自覚症状を悪化あるいは軽快させる基礎療法として以下がリストアップされる。
1)喫煙が線維筋痛症発症のリスクをあげるとか、喫煙者は線維筋痛症のさまざまな症状が非喫煙者より強いとの報告があるが、禁煙により症状が軽快するとの報告はない。
2) 肥満は線維筋痛症発症リスクとなり、肥満線維筋痛症患者では症状が強く、減量により症状の改善がみられる。
3) アルコールについては、中等量までのアルコールは線維筋痛症の症状を改善させるとする報告が多い。
4) その他の生活習慣では徐呼吸は線維筋痛症の痛みや不快感を改善させるとか、禅、ヨガなども同様の効果の報告がある。温熱療法、最近は WAON 療法などが症状の緩和をもたらすとか、逆に局所の冷却療法も有効との報告もあるが、効果がないとする報告など必ずしも一致した結果はえられていない。さらに、森林浴についても効果ありとの報告があるが、有酸素運動の側面も含まれており当然である。音楽療法が有効とする報告もあるが、対照のない研究もある。

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タバコがリスクを上げるけれど、禁煙に効果が無いというのは謎ですね。

適量のお酒は逆に症状を和らげるというのも不思議です。

肥満の場合は減量に効果があるようです。

 

深呼吸、ストレッチやウォーキング、音楽などは、酸素を取り入れてリラックスすることが有効ということなのでしょうか。

客観的なサイエンスからは遠ざかりそうですが、案外やってみると効果が現れるかもしれません。

 

行動とその結果を比較しながら、ストレスを解消するための、自分なりの行動療法を見つけられると良いのかもしれませんね。

ストレスって科学的には一体何なのか?と管理人は気になりましたけれど。

 

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痛みがどんなに強くても、臓器の障害で亡くなるということはなさそうです。

悪いことばかり考えてしまいがちですが、少しでもポジティブに楽しいことを考えるようにできるといいかもしれませんね。

そのためにも、疾患への理解が多くの人に広まって欲しいです。

 

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