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慢性疲労症候群とは?

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「慢性的な疲労」は、多かれ少なかれ誰にでもあるのかもしれません。

 

しかし、いくら休んでも疲れがとれないとか、眠れないとか、寝たきりになってしまうほど症状の強いケースもあり、やはり病的なものもあるのでしょう。

 

一般的な「疲れ」とどのように違うのか、調べたことをまとめてみました。

 

慢性疲労症候群とは?

慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)とは、これまで健康に生活していた人がある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという病気です。

 

(中略)

 

ここで重要なことは、CFSは決して詐病のような病態ではないことが判明していることです。CFS患者の病因・病態には脳機能異常が深くかかわっており、特に重症のCFS患者では中脳や視床における炎症が存在することがポジトロンCT(PET)などの特殊検査装置を用いた検査で分かってきました(2011年度報告書)。この脳における炎症は、通常の頭部CT検査やMRI検査ではみつけることができません。また、種々の免疫機能、自律神経機能、睡眠覚醒リズム、酸化ストレス、内分泌系評価、ウイルス学的検査などの成績においても多くの異常がみられており、CFSは決して自覚している疲れを強く訴えているような病態ではないことが確認されています。

 

(中略)

 

また、CFSの呼び名(病名)についても診断基準検討委員会において1年間かけて検討した結果、CFSというこれまでの病名は疲労という誰もが日常生活で経験している症状を病名として用いていることにより誤解や偏見を受ける可能性が高く、この問題点を早急に解消する必要性が指摘され、世界中の多くの医学会誌で用いられているME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)を用いることと致しました。以下に診断基準検討委員会がとりまとめましたME/CFS臨床診断基準(案)、ME/CFSを難病等の認定に向けて評価する客観的指標(案)、研究用ME/CFS診断基準(案)を紹介していますので、ご参照ください。

(日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班 ホームページ))

やはりただの疲労というわけではなく、脳に炎症が起こっていることが認められています。

「慢性の疲労」という誤解や偏見を避けるために、「筋痛性脳脊髄炎(ME)」を併記することになったようですが、これが世界標準のようですね。

 

診断基準は?

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準(案) (2016年3月改訂

Ⅰ.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める 
(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること) 

1. 強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下*
2. 活動後の強い疲労・倦怠感** 
3. 睡眠障害、熟睡感のない睡眠 
4. 下記の(ア)または(イ) 
(ア)認知機能の障害 
(イ)起立性調節障害

Ⅱ.別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する 
(別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)


*:病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。過労によるものではなく、休息によっても改善しない. 別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、PS 3以上の状態であること。
**:活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。

*1

研究班による研究段階であり、診断基準はまだまだ未確定のようですが、

明らかに新しく発生し、活動能力の低下や睡眠障害があって、休んでも改善しないというのがポイントのようですね。

 

検査は?

別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査


(1) 尿検査(試験紙法) 
(2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン) 
(3) 血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像) 
(4) CRP、赤沈 
(5) 血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)
(6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体 
(7) 心電図 
(8) 胸部単純X線撮影


 *2

慢性疲労症候群をみつけるためというよりは、症状の似ている他の疾患を否定するための検査のようです。

 

鑑別するべき疾患は?

 別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態


(1) 臓器不全:(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など) 
(2) 慢性感染症:(例;AIDS、B型肝炎C型肝炎など) 
(3) 膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患:
(例;SLE、RA、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など) 
(4) 神経系疾患:
(例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ 頭部外傷など) 
(5) 系統的治療を必要とする疾患:(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、 脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など) 
(6) 内分泌・代謝疾患:(例;糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全、など) 
(7) 原発睡眠障害:(例;睡眠時無呼吸症候群ナルコレプシーなど) 
(8) 精神疾患:(例;双極性障害統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など)


 *3

多岐にわたった色んな疾患があるんですね。

どんな病気でも疲労感はありそうなので、診断は本当に難しそうです。

 

合併しやすい疾患は?

別表1-3. 共存を認める疾患・病態


(1) 機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome: FSS)に含まれる病態線維筋痛症過敏性腸症候群顎関節症化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症月経前症候群片頭痛など

(2) 身体表現性障害 (DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、気分障害双極性障害、精神病性うつ病を除く)

(3)その他の疾患・病態   
起立性調節障害 (OD):POTS(体位性頻脈症候;postural tachycardia syndrome)を含む若年者の不登校

(4)合併疾患・病態
脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)

*4

脳脊髄液減少症も挙げられていますね。

 

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疲労のレベルは?

別表2. PS(performance status)による疲労・倦怠の程度(PSは医師が判断する)


0:倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる 
1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある 
2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である 
3:全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*1 
4:全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*2 
5:通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である*3
6:調子の良い日には軽労働は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している 
7:身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である*4 
8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している*5 
9:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている


 

疲労・倦怠感の具体例(PSの説明) 
*1 社会生活や労働ができない「月に数日」には、土日や祭日などの休日は含まない。また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。 
*2 健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。 
*3 フルタイムの勤務は全くできない状態。
ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的負担の軽い労働を意味しており、身の回りの作業ではない。 
*4 1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。 
*5 外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。

*5

診断基準ではPS3以上を「強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下」としているので、月に数日は社会生活や労働ができず自宅で休まなければならない状態から病的ということになるみたいです。

ちなみに管理人は、調子の波はあるものの週の50%以上を自宅で休養しているのでPS6に当てはまります。

 

 

治療法は?

  日本には公的な筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(myalgic ncephalomyelitis/chronicfatigue syndrome; ME/CFS)の治療ガイドラインが未だ無いため、医療現場では担当医が各々手探りの状態で治療を行っている現状にあり、本疾患の治療成績向上のためには治療指針・ガイドラインの策定が喫緊の課題として認識されている。

 

薬物療法 (本邦では本疾患に対して何れの薬剤も保険適応はない)

抗うつ薬: 考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)

漢方薬: 考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)

コルチコステロイド: 有効性について結論に至っていない

Immunoglobrin、Staphylococcus toxoid、アシクロビル、インターフェロン等:推奨する科学的根拠が乏しい


運動療法リハビリテーション・温熱療法
*段階的運動療法: 適切な指導者のもとで行うことが勧められる
和温療法: 考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)
ヨガ療法: 考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)

認知行動療法 考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)
栄養補助食品類(ビタミン、ミネラル、補酵素等)
考慮してもよい(さらに科学的根拠の検討・集積が必要)
または、有効性について結論に至っていない
補完代替療法 有効性について結論に至っていない

*段階的運動療法認知行動療法については、ME/CFS 治療の有効性を再評価をする動きがあり、米国アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Controland Prevention:CDC)の ME/CFS のホームページから GET の項が削除されている。


 本ガイドラインで紹介した最新医療・治療薬の研究開発の動向 抜粋
ME/CFS 治療薬としての有効性について、B 細胞性非ホジキンリンパ腫、多発血管炎性肉芽種症や難治性ネフローゼ症候群の治療薬として本邦でも適応のある antiCD20抗体医薬リツキシマブや Toll like receptor 3 アゴニストである不適合 2 本鎖ポリマーRNA 製剤(米国商品名 Ampligen®)等の臨床試験が欧米の医療機関・研究機関において臨床試験が、ME/CFS 治療薬としての有効性が期待されている。
今後、治療ガイドラインにおける推奨薬剤としてエビデンスレベルを追跡調査する必要がある。

*6

有効性と科学的根拠について言及したガイドラインは策定されたものの、治癒が確実な治療法は見つかっていないようです。

 

患者自身またはご家族がSNS等で意見交換し、試行錯誤しながら対処しているというのが現状でしょう。

 

www.youtube.com

医療関係者向けなので難しいですが、NPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」主催の国際学術シンポジウムがyoutubeにあったので載せておきます。

 

はやく根治的な治療法が開発されることを心より願っています。

 

mecfsj.wordpress.com

cfs-sprt-net.jimdo.com

actionforcfsjapan.com